迷える子羊は、幸せなのよ。
“ 迷うこと ”
生きていれば皆、
何度も何度もそれをする。
あなたは、
迷うことは好きだろうか。
・
迷う、には
迷わせる選択が付き物である。
選択肢が多ければ多いほど、
ひとは迷うことが出来るのだ。
・
ぐう。
おなかが鳴る。
今日は丼物の気分かしら。
定食屋の暖簾をくぐる。
メニューを開く。
・海鮮丼
・親子丼
ほう、それならばと
親子丼を注文する。
はたまた、他のメニュー表。
・海鮮丼
・親子丼
・カツ丼
ぐぬぬ、悩ましいぞと
頭を抱える。
・
さて。
最初の問いへ戻る。
“迷う”という行為。
あなたは好きだろうか。
わたしは好きだ。
だから選択肢は多いほうがいい。
親子丼かカツ丼か、
気が済むまで悩めばいい。
ひとつ言っておきたいのは、
どちらにせよ、
選ばれるものはひとつということだ。
選択肢がいくつになろうと、ひとつだ。
それでも。
選択肢が多いことは、迷うことは
悪いことではないと思う。
なぜなら
迷うことは、
わたしの大事なものを思い出させてくれる。
『 選ぶうえで、
大事にしていることは? 』
いつもそう問い直してくれる。
直感もいいけど
自分の物差しで、選んでみる。
大事にしたいことを信じて、選んでみる。
納得したいのだ。
最後に残る、ひとつの答えに。
納得するために、迷うのだ。
・
箸を置く。
「 ごちそうさまでした。」
伝票には、
《海鮮丼》の走り書き。
悩んだ末に行き着いた答えは、
案外面白い。